通る声とは？『大きい声』との違いと、誰でもできる通る声の出し方

「声をもっと通したい」「人に届く声になりたい」と感じることはありませんか？

多くの人は“通る声＝大きな声”と思いがちですが、
実はこれはまったく別のもの。

大きな声は「音量」で伝えるもの。
一方で通る声は、「響き」と「支え」で自然に届く声です。

今回は、通る声の正体と、大きな声との違い、
そして誰でも始められる通る声の出し方をお伝えします。

通る声とは？ ― 響きと支えで届く声

「通る声」とは、遠くまで自然に届く声のこと。
ポイントは「力強さ」ではなく、「響き」と「呼吸の支え」にあります。

声は息の流れに乗って響くエネルギー。
つまり、通る声の土台は「呼吸」と「姿勢」です。

胸だけで息を使う“浅い呼吸”では、声がこもって届きにくくなります。
逆に、下腹（丹田）を中心に息を支えると、
声は喉に頼らず、身体全体で響き始めます。

「大きい声」と「通る声」はちがう

「声が小さいから、もっと大きく出そう」と思って
喉に力を入れていませんか？

実は、ここに落とし穴があります。

大きい声は“押し出す”声。
通る声は“通り抜ける”声。

息を押し出すのではなく、
流れを保ちながら響かせることで、
声は自然に伸びていきます。

声は“力”ではなく、“流れ”で届く。
これが、通る声の最大のポイントです。

通らない声の多くは、次のような状態になっています。

・胸や肩に力が入り、息が浅い
・あごが上がり、喉が締まっている
・腹筋が抜けて、声が下から支えられていない

これらはすべて、呼吸の“通り道”が狭くなっているサインです。
姿勢を整え、息を長く流せるようにすることで、
声は自然に前へと通っていきます。

ここからは、今日からできる簡単な練習を３つ紹介します。

① みぞおち呼吸（支えをつくる）

みぞおちに手を当てて、ゆっくり長く息を吐きます。
「ふーっ」と静かに吐きながら、みぞおちがへこんでいく感覚を感じましょう。
これが「支え」です。

② 背中を広げる呼吸（姿勢を整える）

背中をふわっと広げるように息を吸います。
肩ではなく、肋骨の横・背中側が動くように意識すると、
自然と胸が開き、声の通り道が広がります。

③ “ん〜”ハミング（響きを育てる）

口を閉じて“ん〜”とハミング。
鼻の奥や頭に響く感覚を見つけましょう。
響きが前に集まると、声が自然に抜けて通るようになります。

通る声は、「大きさ」ではなく「通り道」で決まります。
呼吸を整え、姿勢を整えることで、
あなたの声は無理なく遠くまで届くようになります。

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あとがき

レッスンでもよく話すのですが、
「通る声」はテクニックではなく、“自然な状態”から生まれます。

身体の力が抜け、呼吸が深くなり、心が落ち着く。
そのとき、あなたの声は自分らしく響き始めます。

今日の内容が、あなたの声を見つめ直すきっかけになればうれしいです。