声は出ている。
マイクもある。
会場の後ろまで届いているはず。
それなのに——
なぜか言葉が「刺さらない」。
手応えが薄い。
説得力が乗らない。
講師、司会者、教師など、声を使う仕事の方ほど、
この違和感をふっと感じる瞬間があるかもしれません。

目次
マイクは音を大きくする。でも声そのものは変えられない
「マイクがあると、声が小さくても大丈夫」
そう思われがちです。
たしかにマイクは、音を大きくして遠くまで運んでくれます。
でもマイクは“拡声器”であって、声そのものを良くする装置ではありません。
写真でいえば、拡大はできても、ピントまでは合わせてくれない。
声にも、似たことが起きます。
音量は上がっているのに、
言葉の輪郭がぼんやりする。
芯が感じられない。
聞こえるのに「届かない」。
そんなとき、私たちが見落としやすいのが、
声の“印象”の部分です。
人は「内容」だけで話を受け取っているわけではない
コミュニケーションでは、
「人は言葉の内容そのものより、声の響きや表情、雰囲気から印象を受け取る」
と言われることがあります(メラビアンの法則として知られています)。
もちろん、内容が大事であることは変わりません。
ただ、聞き手は同時に——
・声に芯があるか
・落ち着きがあるか
・どこかに“支え”を感じるか
そういう「印象」も一緒に受け取っています。
だからこそ、マイクで音量が上がっても、
声の手応えが薄いままだと、
言葉がきちんと届いているのに、届いていないように感じてしまう。
そんなことが起きるのかもしれません。
ここで言いたいのは、表情や見た目を作りましょう、という話ではありません。
声の印象は、喉の頑張りではなく、身体の土台から変わっていくことがある——
その可能性を、そっと置いておきたいのです。
「力を抜いていい」は半分正しい。けれど…
「マイクがあるから力を抜いていい」
これは半分は正しいです。
喉を締めて大声を出すより、
喉は楽で、自然なほうがいい。
ただ、力を抜く場所が“喉”だけになると、声は軽くなりすぎることがあります。
軽い声は、悪い声ではありません。
でも場面によっては、
・重要な話が軽く聞こえる
・感情が乗りきらない
・言葉が前に進まない
そんな印象につながることがあります。
抜くべきは喉。
残したいのは、鳩尾(みぞおち)あたりからの支え。
「通る声」は、押し出すより“支えられている”
声が通る人は、必ずしも大きな声を出しているわけではありません。
むしろ、静かでも通る。
近くで聞くと柔らかいのに、なぜか前へ届く。
その違いは、出し方というより、支えられ方にあることが多いです。
ボールを投げるとき、
力は前に向かっているようで、同時に足元には逆方向の力が静かに働いています。
床を押す力。
逃げない力。
その見えない支えがあるからこそ、ボールは遠くへ飛んでいく。
声も似ています。
どこかを強く押し出しているというより、
身体のどこかで、そっと受け止められている。
その支えがあると、声は無理に押し出されません。
勝手に前へ流れていくようになります。
言葉に芯が残り、輪郭がにじみにくくなる。
そして、マイクはそれを“拡大”してくれる。
そうすると、説得力が自然に乗りやすくなるのだと思います。
支え呼吸とは「力む呼吸」ではなく、土台を思い出す呼吸
「支え」と聞くと、腹筋を固めるイメージが浮かぶかもしれません。
でもTom’s Voiceの支え呼吸は、
お腹を張ることでも、頑張ることでもありません。
もっと静かに、
・鳩尾の奥が落ち着く
・胸が固まりすぎない
・喉が“代わりに頑張らなくていい”状態になる
そんな土台を、身体が思い出していく感じです。
支えがあると、喉を抜いても声が薄くならない。
抜くべきところは抜けていて、残したいところにだけ静かな強さが残る。
このバランスが、「通る声」の鍵になっていきます。
今日からできる小さな確認
次にマイクを使う前、または人前で話す直前に、
こんなふうに確認してみてください。
・喉だけが軽くなっていないか
・胸が固まっていないか
・鳩尾のあたりが詰まっていないか
もし鳩尾が固い感じがあるなら、
声を大きくする前に、そこに少し余白をつくる。
それだけで、声の通り方が少し変わることがあります。

まとめ|説得力は「音量」より、支えから生まれる
マイクは、音を大きくしてくれます。
でも、声の芯や印象までは作れません。
喉を抜くことは大切。
けれど喉だけを抜くと、声が軽くなることがある。
残したいのは、鳩尾〜身体の中心からの支え。
支えがあると、声量に頼らなくても声が通り、言葉が前に届きやすくなります。
説得力は、
「もっと出す」よりも、
「下で支えられている」状態から生まれるのかもしれません。
声を出す前に、少しだけ立ち止まってみませんか
Tom’s Voiceでは、
声を「鍛える」前に、声が生まれる身体に戻ることを大切にしています。
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